「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」
中洲大洋でチャン・イーモウ監督の「ワン・セカンド 永遠の24フレーム」を鑑賞。舞台は1969年、文化大革命の渦中にある中国だ。主人公は強制労働所を脱走してきた男。造反派の恨みを買ったために強制労働所送りになり、妻や娘とは絶縁している。だが、「22号」というニュース映画に娘が映っていることを知り、一目見たいがために危険を冒して脱走してきた。
現在のように気軽に映画が観られる時代ではない。映画は村ごとに上映され、一つの村で上映が終わるとフィルムは大切に次の村へと運ばれる。そのフィルムの一部が、孤児の少女により盗まれる場面を男は偶然に目撃してしまう。少女にはフィルムを必要とする理由があるのだが、事情を知らない男はすったもんだの末に少女からフィルムを奪い取り、村の映写技師のファンに渡す。その矢先、男の娘が映っているらしいニュース映画22号のフィルムが、運搬する青年の不注意により砂まみれになってしまう事件が起きる。
映画の前半は、砂にまみれてグチャグチャにもつれてしまったフィルムを、村人総出で回復する過程が描かれる。このシーンが愉快である。家から布やはし、蒸篭などを持ちより、手分けして作業にあたる。作業には加わらない人もやってきてお祭り騒ぎだ。映写技師は先頭に立って村人に指示を出す。
いざ映画の上映が始まるとこれまた大騒ぎだ。拍手をしたり歓声を上げたり、劇中歌は観客全員で大合唱だ。映画が数少ない娯楽の一つだった時代の、豊かな楽しみ方がそこにある。
映写技師が王様のように堂々としているのもいい。後半の、近隣では彼にしかできない技術を披露する場面は圧巻で、フィルムだからこそ成り立つシーンだ。
労働所を脱走してきた男が、無事に娘が映った映像を観られるのかも物語のカギの一つだが、結末はほろ苦くも優しい。映画とそれを取り巻く人たちへの愛情が詰まっている。