旅と映画

行ったところと観た映画の個人的な記録

2017-01-01から1年間の記事一覧

猫が教えてくれたこと

今年の映画納めは、ジェイダ・トルン監督の「猫が教えてくれたこと」 イスタンブールの街に暮らす猫と人の様子を撮ったドキュメンタリーだ。 イスタンブールは昔から海外貿易の拠点であり、猫はオスマン帝国の時代に船に乗ってやってきたそうだ。猫たちは街…

義烈団と東京二重橋爆弾事件

義烈団が起こした事件の一つに「東京二重橋爆弾事件」がある。 1924年1月5日、義烈団員の金祉燮(キム・ジソプ)が皇居への侵入を企て、爆弾を二重橋に投げ込むも爆発せず、不発に終わった事件だ。 金祉燮はすぐにその場で取り押さえられ、予審にかけられ…

「密偵」に登場したハンガリー人について

実在した抗日運動組織・義烈団を題材にしたキム・ジウン監督の映画「密偵」には、ハンガリー人の活動家が出てくるが、今読んでいる朴泰遠(金容権訳)の「金若山と義烈団」の中に、そのモデルと思しき人物のことが書いてあった。(なお、金若山とは金元鳳の…

나무늘보

韓国語でナマケモノのことを나무늘보(ナムヌルボ)というと知ったのは、韓国kBSのバラエティ番組「1泊2日」を見ていた時のことだった。 な、何て愛らしい響きなのだろう、나무늘보. 韓国語の単語には、このように私の琴線に深く触れるものがたまにあって…

義烈団と関東大震災時のテロに関するデマについて

ところで、ネットで「義烈団」で検索すると、彼らは関東大震災の時にテロを行った、だから朝鮮人虐殺はやむを得なかったのだみたいなのがゴロゴロ出てくるので、自分メモも兼ねて書いておきます。 義烈団は1919年11月、中国・吉林で結成。結成当時の団員は13…

密偵

KBCシネマで、キム・ジウン監督の「密偵」を鑑賞。日本統治下の韓国を舞台に、実在した抗日団体「義烈団」を描いた映画だ。 義烈団は1919年、「光復祖国」「打破階級」「平均地権」、即ち日本の植民地支配から祖国を解放し、階級社会を打ち壊し、土地を均…

キャンドルデモ1周年ツアー13.[3日目]

朴烈義士記念館で展示を見た後、もう一度金子文子の墓地へ行った。 同志の栗原一男も、ここに文子の墓所を作るにあたって尽力したようだ。 文子の墓地からは聞慶の山の風景がよく見える。 その日はずっと曇っていて風が冷たかったのだけど、文子の墓地にいる…

キャンドルデモ1周年ツアー12.[3日目]

最後は不逞社の同志・栗原一男、新山初代、金重漢の写真。 左端の紳士が栗原一男 下に写っているのが新山初代と金重漢 新山初代には私はちょっと興味がある。彼女は金子文子より2つほど年上で、文子の親友だった。二人は1922年、正則英語学校の同級生として…

キャンドルデモ1周年ツアー11.[3日目]

実のところ、朴烈義士記念館でこの展示を見た時、どういう経緯で金九が朴烈に手紙を書いたのかよくわからなかった。 一緒に李承晩が朴烈にあてた手紙も展示されていたけれど、評伝を読んでもそのことに関する記述はなく、あれはどんなことが書いてあるのだろ…

キャンドルデモ1周年ツアー10.[3日目]

布施辰治は朝鮮と関りの深い人である。1880年に宮城県の農家に生まれた布施は、漢学塾に通う中で中国と朝鮮の文化に触れ、隣国に惹かれるようになったようである。1919年、東京の朝鮮基督教青年会館で開かれた集会で朝鮮人留学生が検挙、裁判にかけられると…

キャンドルデモ1周年ツアー9.[3日目]

朴烈義士記念館には、かの有名な「怪写真」も展示されている。椅子に座った朴烈の膝の上に金子文子が腰かけて本を読み、朴烈の手は文子の胸元に回っているという、二人の親密さを感じさせる一枚。 初めてこの写真を見た時、二人のリラックスした様子から自宅…

キャンドルデモ1周年ツアー8.[3日目]

朴烈義士記念館に展示されていた資料の中からご紹介。「太い鮮人」第一号。 「太い鮮人」は1922年11月、金子文子と朴烈が創刊した雑誌である。 当初は「不逞鮮人」というタイトルだったが、警視庁の許可が下りるわけがなく、警視庁係官が「太い奴だ」と言っ…

キャンドルデモ1周年ツアー7.[3日目]

今回も紆余曲折ありつつ、何とか記念館に到着。(多分、次に行く時も色々ある)さて、記念館に入るとまず正面に、朴烈の像が座っている。 私が注目したのはその像の後ろ。朴烈が1922年、知人にあてて書いた手紙の複製だ。それはこんな内容。 「海野さん。 随…

キャンドルデモ1周年ツアー6.[3日目]

ツアー3日目は、他の参加者とわかれて単独行動。せっかくソウルに来たので、聞慶に行くこととする。 聞慶はソウルから高速バスで2時間の小さな田舎町だ。そこに「朴烈義士記念館」と金子文子の墓地がある。 朴烈義士記念館に前回行ったのは去年の12月30日…

キャンドルデモ1周年ツアー5.[2日目]

今回のツアーのメインは、何と言ってもキャンドルデモ1周年記念集会への参加だろう。 いわゆる「チェ・スンシルゲート事件」を受けて朴槿恵大統領弾劾の声が高まり、最初の大規模なキャンドルデモ・キャンドル集会が開かれたのが去年の10月29日。 それから…

キャンドルデモ1周年ツアー4.[2日目]

日本大使館前で座り込みをしているグループから話を聞いた後は、「参与連帯」の事務所に移動。 ビル全体を覆う巨大なイエローリボンは壮観だ。 言論の自由を守るため、KBS、MBCの社員たちへの連帯を表す横断幕。 ご存知の方も多いと思うけれど、参与連…

キャンドルデモ1周年ツアー3.[2日目]

ストライキやアメリカのトランプ大統領を批判する横断幕を見ながら向かった先は、日本大使館前だ。 もっとも、日本大使館だった建物は取り壊されていて、現在新しい建物を建築中。道路を挟んだ向かいに少女像があり、学生や若者を中心としたグループが像の撤…

キャンドルデモ1周年ツアー2.[2日目]

さてツアー2日目の朝、バスでの移動中にバス停を一つ乗り過ごしてしまったため、皆で歩いて移動していたら、日本ではついぞ見かけなくなった光景に遭遇した。 ストライキである。 韓国の大企業の一つであるLG本社前で、横断幕やプラカードを掲げ、テント…

キャンドルデモ1周年ツアー1.[1日目]

9月に済州島に行ったばかりなのに、1ヶ月あまりでまた韓国に行くのは、10月28日、ソウルでキャンドルデモ1周年の大きな集会が開かれるからだ。 チェ・スンシルゲートと呼ばれる一連の疑惑に端を発した、パク・クネ大統領の弾劾を求めるキャンドルデモ、キ…

米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー

KBCシネマで、佐古忠彦監督の「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」を鑑賞。カメジローこと瀬長亀次郎は、1907年生まれの沖縄の政治家だ。新聞記者などを経て、1947年に沖縄人民党を結成。1952年の第1回琉球立法院議員選挙で当選する…

 サラエヴォ

映画「サラエヴォの銃声」を観たついでに、地理に疎い私は早速サラエヴォの位置を調べてみる。サラエヴォはボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都。ボスニア・ヘルツェゴヴィナはバルカン半島の中心部に位置し、クロアティア、セルビア、モンテネグロに囲まれて…

サラエヴォの銃声

KBCシネマで、タニス・タノヴィッチ監督の「サラエヴォの銃声」を鑑賞。第一次世界大戦のきっかけとなった「サラエヴォ事件」から100年、記念式典を控える「ホテルヨーロッパ」でのできごとを撮った、ワンシュチュエーション映画だ。登場人物はホテルの女…

花筐/HANAGATAMI

アジアフォーカス・福岡国際映画祭で、大林宣彦監督の「花筐/HANAGATAMI」を鑑賞。檀一雄の短編小説が原作で、佐賀県唐津市で撮影している。大林監督がこの小説を最初に映画化しようと考えたのは、約40年ほども前の話で、その時に檀一雄自身から「唐津に行…

韓国釜山・済州旅行5.[3日目]

イ・ジュンソプ美術館の後は済州大学へ。済州大学には「在日済州人センター」があり、展示室を見学させていただくことができた。 済州大学 在日済州人センターhttp://zainichijeju.jejunu.ac.kr/ 大学内にもトルハルバン 済州島・大阪間を直通で結ぶ「君が代…

韓国釜山・済州旅行4.[3日目]

済州島で向かえたツアー3日目の朝は、昨日までの強風が嘘のような気持ちのよい快晴だった。 朝食を食べた後、まずはイ・ジュンソプ美術館(이중섭미술관)へ。 何年か前にドキュメンタリー映画が公開されたので、知っている人も多いと思うけれど、イ・ジュ…

韓国釜山・済州旅行3.[2日目]

済州島での一日目、Y先生の案内でまずは島の人たちが祈る場であるタン(堂)を見た後、カンジョンマウル内の軍施設を見に行った。 この日は台風が近づいていて風がとても強く、写真はあまり撮れなかったのだけど、リゾートホテルとみまごうような立派な米兵…

韓国釜山・済州旅行2.[2日目]

さて、釜山に1泊して翌日はいよいよ済州島へ。 ちょうどこの時、台風が近づいていて、飛行機が予定通りに飛ぶかどうか心配だったけれど、ツアー参加者の中に日頃の行いのよい人がいたらしく、遅れたりすることもなく無事に済州島へ到着。 おなじみ、トルハ…

韓国釜山・済州旅行1.[1日目]

9月15日から18日にかけて、4回目の「日韓未来バスツアー」が行われた。 このツアーは韓国在住の友人Tさんが、「日本と韓国の友好と平和を願う私たちが多数派になる」ことを目的に、2014年から年に1回行っているツアーだ。 1回目は江華島、2回目は世宗…

記憶の中のシベリア 祖父の想い出、ソウルからの手紙

東田シネマで、久保田桂子監督のドキュメンタリー映画2作品を鑑賞。東田シネマとは、八幡東区の環境ミュージアムの中で月に一度行われている、ドキュメンタリー映画の上映会のことだ。今回は久保田監督の「祖父の日記帳と私のビデオノート」「海へ 朴さんの…

 ルーマニア

地理に疎いため、気になる地名を調べるシリーズ、第二弾はルーマニア。 ハンガリー、ウクライナ、モルドバ、ブルガリア、セルビアに囲まれている。首都はブカレスト。ルーマニア人の他、ハンガリー人、ドイツ系入植者、ロマ民族も居住。第一次世界大戦では当…