旅と映画

行ったところと観た映画の個人的な記録

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

管野須賀子の墓

金鳳山平林寺に前田卓(つな)の墓を訪ねたのは1月23日。翌24日は、幸徳秋水ら大逆事件の犠牲者が処刑された日である。社会主義者や無政府主義者への大規模な弾圧である大逆事件は、1911年1月18日に死刑判決が出たわずか6日後に、異例のスピードで刑が執…

前田卓の墓を訪ねる3.[黙らない女]

前田卓(つな)の墓があるのは、埼玉県新座市の金鳳山平林寺である。西武池袋線のひばりヶ丘駅からバスで10分ほど。門前に「禅修行の場であって、観光地ではない」旨の但し書きがしてあり、厳しい修行で知られる古刹である。この寺に卓の墓があるのは、養子…

前田卓の墓を訪ねる2.[民権運動と辛亥革命]

前田卓(つな)は1868年、即ち明治元年の6月18日、熊本県玉名郡小天村(現・玉名市)に生まれた。父は覚之助、母はキヨ。前田家は地元の名士で、他人の土地を踏まずに熊本に行けると言われるほど、広大な土地を有する資産家の家柄だった。なお、卓は覚之助…

前田卓の墓を訪ねる1.[漱石のミューズ、だけでなく]

1月下旬、埼玉にある前田卓(つな)の墓を訪ねた。彼女は一般的には、夏目漱石の小説「草枕」のヒロイン・那美のモデルとして知られている。現在残っている写真を見ると、涼しげな目鼻立ちをした憂いのある女性だが、漱石と会話が楽しめる知性とユーモアを…

モノレールに乗って2.[土方歳三の墓]

新選組副長で知られる土方歳三は、天保6年5月5日(1835年5月31日)、武藏国多摩郡石田村の豪農の家に生まれた。父は隼人義諄(よしあつ)、母は恵津。帰農武士の家柄と言われており、当主は代々「隼人」を名乗った。しかし、父は歳三が生まれる3ヶ月前…

モノレールに乗って1.[新選組の里を訪ねる]

モノレールが好きである。高いところを走るので景色がよいし、どことなくのんびりしていて、非日常のにおいがする。私が住んでいる福岡市にはモノレールの路線はないので、乗るのは常に旅先である。今回乗ったのは、東京の多摩モノレール。開業は1998年11月…

鎌倉紀行2.[龍口寺]

鎌倉に来たら江ノ島電鉄、通称・江ノ電に乗らないわけにはいかない。というわけで、昼食後に江ノ電に乗って江ノ島まで行ってみた。江ノ島には何があるかというと、龍口寺がある。日蓮の龍ノ口法難の霊跡として、有名なお寺だ。 日蓮は法華経を信仰する立場か…

鎌倉紀行1.[村木源次郎の墓参り]

お正月が明けて間もない週末、東京に行く用事があったのでついでに鎌倉に足を延ばしてきた。今回は個人的な旅行ではなく複数名での東京滞在だったが、1月24日の命日を前に、一人で村木源次郎の墓に手を合わせに行くこととした。 村木源次郎(1890~1925)は…

大逆ツアー 熊本編3.[大逆事件犠牲者顕彰碑 ~『熊本評論』と車夫たちの連帯~]

大牟田と荒尾を回った後は、Oさんの運転で熊本県山鹿市に向かった。熊本県北部に位置する山鹿は、戦争中に空襲を免れたおかげで古い町並みが残る風情ある温泉地だ。去年11月に訪ねた高知県の中村(四万十市)は「土佐の小京都」だが、山鹿も「肥後の小京都…

大逆ツアー 熊本編2.[炭鉱の町と慰霊碑]

当日はJR大牟田駅前でOさんと待ち合わせ。最初に向かったのは、大逆事件とは関係のない場所であるが、大牟田駅から車で5分ほどのところにある宮浦石炭記念公園だ。 福岡県の最南端にある大牟田市は熊本県荒尾市に隣接しており、大牟田も荒尾もかつては三…

大逆ツアー 熊本編1.[大逆事件と熊本]

熊本県山鹿市にある「大逆事件犠牲者顕彰碑」を訪ねたのは、年が明けたばかりの1月2日のことだ。大逆事件の際、熊本からは松尾卯一太、新美卯一郎、飛松与次郎、佐々木道元の4人が逮捕、起訴されている。4人全員に死刑判決が出るが、飛松と佐々木は特赦…