旅と映画

行ったところと観た映画の個人的な記録

前田卓

前田卓の墓を訪ねる3.[黙らない女]

前田卓(つな)の墓があるのは、埼玉県新座市の金鳳山平林寺である。西武池袋線のひばりヶ丘駅からバスで10分ほど。門前に「禅修行の場であって、観光地ではない」旨の但し書きがしてあり、厳しい修行で知られる古刹である。この寺に卓の墓があるのは、養子…

前田卓の墓を訪ねる2.[民権運動と辛亥革命]

前田卓(つな)は1868年、即ち明治元年の6月18日、熊本県玉名郡小天村(現・玉名市)に生まれた。父は覚之助、母はキヨ。前田家は地元の名士で、他人の土地を踏まずに熊本に行けると言われるほど、広大な土地を有する資産家の家柄だった。なお、卓は覚之助…

前田卓の墓を訪ねる1.[漱石のミューズ、だけでなく]

1月下旬、埼玉にある前田卓(つな)の墓を訪ねた。彼女は一般的には、夏目漱石の小説「草枕」のヒロイン・那美のモデルとして知られている。現在残っている写真を見ると、涼しげな目鼻立ちをした憂いのある女性だが、漱石と会話が楽しめる知性とユーモアを…

東京大逆ツアー 池袋編・番外2[前田卓と辛亥革命]

前田卓(まえだ・つな)が辛亥革命の支援に関わるようになるのは1905年、上京したことがきっかけだった。その年の6月、卓は3度目の短い結婚生活に終止符を打っている。37歳だった。養老院にでも住み込み、お年寄りの世話をしようと思って上京するが、義弟…

東京大逆ツアー 池袋編・番外[前田卓と夏目漱石]

夏目漱石が前田卓(まえだ・つな)と初めて会ったのは、漱石が熊本の五高に赴任していた1897年のことである。同僚の英語教師の誘いで、年末から正月にかけて熊本県玉名郡小天村湯之浦(現・熊本県玉名市天水町小天)にある前田案山子の別邸を訪ねたのだ。この…

東京大逆ツアー 池袋編14.[宮崎滔天旧宅]

雑司ヶ谷霊園で著名人の墓を訪ねた後は、西池袋に宮崎滔天の旧宅があるというのでよってみた。1914年に中国の革命家・黄興の援助によって建てられたものだ。滔天は孫文と黄興の中国同盟会の結成に尽力するなど、中国革命運動を熱心に支えたがその分生活は困…