旅と映画

行ったところと観た映画の個人的な記録

2023-01-01から1年間の記事一覧

久しぶりの韓国旅行

久しぶりに韓国を旅行した。最後に訪ねたのが2019年11月だから、4年ぶりだ。今回の行き先は釜山とその隣の蔚山。 私がパスポートを取って最初に旅した海外が釜山だった。というか、釜山に行くためにパスポートを取ったのだった。福岡からは高速船ビートルで…

山川家の墓

所用のため、高知に行く機会があり、その帰りに岡山によってきた。高知から岡山までは特急南風に乗車。これがとてもいい列車だった。 南風は、高知と岡山を瀬戸大橋経由で結ぶ特急気動車(ディーゼルカー)だ。4両編成(平日は3両)の小さな列車である。J…

「福田村事件」

KBCシネマで、森達也監督の「福田村事件」を鑑賞。福田村事件とは、関東大震災の後、千葉県東葛飾郡福田村で起きた虐殺事件のことだ。讃岐から来た行商人の一行が、関東の人間にはなじみの薄い、聞きなれない方言で話していたために朝鮮人と間違えられ、…

追悼する人々と百年目の東京7.[追悼は場所を超えて]

さて、例年は東京から戻ったら私の「9月」は一段落なのだが、今年は福岡に戻ってからも続きがあった。 福岡でも9月3日に、関東大震災時に虐殺された朝鮮人を追悼する街頭行動が行われたのだ。これまでにも市民団代の主催で、講演会や映画の上映会などは企…

追悼する人々と百年目の東京6.[王希天と中国人労働者たち]

東京滞在最終日となる9月3日は、関東大震災中国人受難者を追悼する会主催で行われた、王希天(ワン・シーチェン)を追悼する集会に参加をした。 王希天は1896年、吉林省長春の裕福な家に生まれた。1917年頃、留学生として渡日する。敬虔なクリスチャンで、…

追悼する人々と百年目の東京5.[百年の朗読]

ところで、今年の横網町公園はなつかしい人たちとの再会の場でもあった。100年の節目と、新型コロナが5類感染症に移行し、様々な制限が緩和されたことが重なったためだろう。 まず、朝鮮人犠牲者追悼式典に参加するため、受付で名前を書いたところで後ろか…

追悼する人々と百年目の東京4.[横網町公園で起きたこと②]

そよ風ら「慰霊祭」の参加者は、いったん石原町遭難者碑の前に集合した後、朝鮮人犠牲者追悼碑の前に移動し、「慰霊祭」を行うつもりであったようだ。9月3日付のそよ風公式ブログに、集合から「慰霊祭」の様子までを撮影した1時間20分ほどの動画がアップ…

追悼する人々と百年目の東京3.[横網町公園で起きたこと①]

朝鮮人犠牲者追悼式典への妨害行為や、ヘイトスピーチを行ってきた団体「日本女性の会 そよ風」が、今年も「慰霊祭」を行うとの告知を公式ブログに出したのは8月11日だった。そよ風はこれまでにも横網町公園内の石原町遭難者碑の前で「慰霊祭」と称する嫌が…

追悼する人々と百年目の東京2.[今年のそよ風]

そよ風のことはこれまでにも繰り返し投稿をしてきたので今さら感があるが、正式名称は「日本女性の会 そよ風」という。 会のHPによると、「偏向報道でマスコミが伝えていない真実など知って危機を感じて」「こういう世の中でもあきらめずに正しい事を主張…

追悼する人々と百年目の東京1.[追悼文を送付しないことの波紋]

今年2023年は、関東大震災の発生から100年となる節目の年だ。個人的には99年目だろうと101年目だろうと、甚大な被害をもたらし、その後の日本社会を大きく変えるきっかけになったできごととして覚えておかなければならないと思う。だが、「次の100年」を見す…

「波紋」

キノシネマ天神で、荻上直子監督の「波紋」を鑑賞。荻上作品といえば、「かもめ食堂」や「トイレット」に代表されるような、何気ない日常生活を描いて観る人の心をほっこりさせる作風という印象が強い。同じようなものを期待して鑑賞すると、たじろぐかも知…

「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

キノシネマ天神で、サラ・ポーリー監督の「ウーマン・トーキング 私たちの選択」を鑑賞。自給自足の生活を送るキリスト教一派の暮らす村で、不可解な事件が頻発する。女性が朝目を覚ますと身体にあざや傷があり、性器から出血しているというものだ。要するに…

大逆事件と関西5.[大阪くらしの今昔館]

大阪で足を運んだところが、もう一か所ある。「大阪くらしの今昔館」だ。江戸時代から1970年代までの大阪を「住まい」と「暮らし」の観点から展示している博物館だ。 古来から商業都市として栄えた大阪は、関東大震災で東京が大きな打撃を受けた後の一時期、…

大逆事件と関西4.[東洋初のロボット・学天則]

ロボットが好きである。どれくらい好きかというと、福岡には「ロボスクエア」というロボットの科学館があるが、昔はクリスマスシーズンになると、ロボットによるクリスマスショーが行われていた。それを毎年見に行っていたくらいには好きだ。ソフトバンクの…

大逆事件と関西3.[森近運平の書簡]

5年ぶりに神戸で開催された「第5回大逆事件サミット 神戸大会」は、参加者140名の盛況だった。各地で大逆事件の真相を明らかにしたり、犠牲者の名誉を回復するための活動を行っている11団体が一堂に会したのも得難い機会だろう。 その中の一団体、岡山の「…

大逆事件と関西2.[管野須賀子生家跡]

サミットが開催されるのは神戸だが、まずは大阪をぶらり。大逆事件で刑死した、唯一の女性である管野須賀子の出身地が大阪なのだ。 管野は1881年6月7日、大阪の絹笠町(現・大阪市北区西天満2丁目)に生まれた。父親の義秀は管野が生まれた時は鉱山事業家…

大逆事件と関西1.[神戸の大逆事件]

5月下旬、神戸でサミットに参加をしてきた。サミットといっても、G7ではない。2018年以来、5年ぶりに開かれる「第5回大逆事件サミット 神戸大会」のことである。 大逆事件サミットは、大逆事件の犠牲者たちの名誉を回復するための活動を行っている各団…

「ラストエンペラー」

KBCシネマで、ベルナルド・ベルトリッチ監督の「ラストエンペラー」を鑑賞。言わずと知れたアカデミー賞作品賞ほか9部門を獲得した、1987年公開の名作。今年の1月にも「12ヶ月のシネマリレー」の一環としてリバイバル上映されたが、音楽を担当した坂本…

特に目的のない旅7.[顔だけの大仏様、上野大仏]

東京の桜の名所といえば上野公園。上野には2019年1月に、金子文子の足あとをたどるために訪ねたことがあるが、それ以来だ。ちょうど桜のシーズンなので、滞在最終日、飛行機に乗る前に上野公園まで足を延ばしてみた。 午前中まだ早めの時間だったが、それな…

特に目的のない旅6.[神奈川県立図書館と山川菊栄]

横浜にある神奈川県立図書館には、「山川菊栄文庫」がある。和書約4300冊、洋書約890冊のほか、直筆原稿や書簡、写真、新聞・雑誌の記事、タイプライターなどの愛用品など、多数の資料が納められているという。もっとも普段は一般公開はしておらず、見ること…

特に目的のない旅5.[藤沢の山川菊栄]

滞在3日目。この日は都内から足を延ばし、鎌倉と横浜を訪ねた。一つ目の行き先は村木源次郎の墓参り。昨年10月から、福岡市内で有志にて伊藤野枝の読書会を行っているので、その報告を兼ねて。あいにくの雨模様だったので、お花は供えず手だけ合わせてきた…

特に目的のない旅4.[磯部浅一と朝日平吾]

磯部浅一の墓は、墓地に入ってすぐのところにあった。 墓を訪ねたのは、彼の思想や行動に共感や賛同するところがあるからではない。以前、1921年に安田善次郎を刺殺した朝日平吾の下宿跡や墓を訪ねたことがあったが、この時も、朝日の思想や行動に共感、賛同…

特に目的のない旅3.[豊国山回向院(小塚原回向院)]

三ノ輪と三河島をぶらりとする間に立ち寄ったのが、回向院だ。浄土宗の寺院である回向院は、東京に二ヶ所ある。一つは両国。両国回向院と呼ばれ、正称は諸宗山回向院。開創は1657年。元号でいうと明暦3年で、火事が多かった江戸でとりわけ大規模な火災とな…

特に目的のない旅2.[三ノ輪と三河島]

小さい電車が好きである。1両か2両で編成された、比較的短い区間を走る電車のことだ。具体的には江ノ島電鉄や都電荒川線、福岡でいえば西鉄貝塚線。 今回は特にテーマも目的もない旅なので、久しぶりに荒川線に乗って途中途中でふらりと降りてみたいと考え…

特に目的のない旅1.[桜の井の頭公園]

3月下旬、東京と鎌倉、横浜を訪れた。1月、2月と忙しく、ゆっくり外出をする時間が取れなかったので、久しぶりの遠出である。今回は特にテーマも目的もない旅。だが、結論からいうとそれでよかったと思う。最終日以外、ずっと雨にたたられたからだ。こう…

最近観た映画

ここ最近、少し多忙だったのと、1月2月は遠出をしていないためブログの更新が滞ってますが元気です。 松代大本営(象山地下壕跡)の訪問報告をしたり、青山(山川)菊栄と伊藤野枝の廃娼論争のざっくりした資料を作ったりしていました。 今年に入ってから…