旅と映画

行ったところと観た映画の個人的な記録

2018-01-01から1年間の記事一覧

おっさんずラブ

ドラマ「おっさんずラブ」(全7話)を見終わった。本放送はテレビ朝日系で2018年4月から6月まで。このドラマ、フェミニズム系の人をはじめ一部でとても評判がよい。そのため、遅ればせながら当方もネット配信で視聴してみた次第。 男性同士の三角関係をコ…

東京旅行10.[亀戸事件犠牲者之碑③]

殺害された労働運動の活動家たち10人の追悼碑は、JR総武線亀戸駅から10分ほど歩いた浄心寺の中に建立されている。途中、亀戸署跡地も通った。現在はネットカフェになっている。あの場所で凄惨な虐殺が行われたと思うと、ちょっと入る気になれない。 浄心寺…

東京旅行9.[亀戸事件犠牲者之碑②]

では、南葛労働会や純労働者組合で労働運動を行っていた活動家たちが虐殺されたのは何故なのか。虐殺された吉村光治の弟・南巌も、9月11日に亀戸署高等係の刑事らに検束されている。南は震災後、自宅で老父母の世話をしたり、夜警や救援活動に携わっていた…

東京旅行8.[亀戸事件犠牲者之碑①]

旧四ツ木橋跡を訪ねた後は亀戸へ移動し、浄心寺にある亀戸事件犠牲者の追悼碑を訪ねた。 関東大震災の混乱のさなか、南葛労働会で活動していた労働運動家の川合義虎らが亀戸署で殺害されたのは、9月3日という説と4日という説があるが、ここでは旅行中に読…

東京旅行7.[旧四ツ木橋付近②]

追悼碑を見た後は、荒川河川敷を歩いてみた。関東大震災の時、大規模な朝鮮人虐殺が行われた場所である。当時、四ツ木橋という木造の橋がかかっていて(現在の四ツ木橋とは別物)、この周辺で虐殺が起きた。最初は自警団など武装した人々が連行してきた朝鮮…

東京旅行6.[旧四ツ木橋付近①]

皇居前広場を訪ねた後は、電車で京成押上線八広駅まで移動。まず、荒川河川敷近くにある関東大震災時の朝鮮人虐殺犠牲者の追悼碑を訪ねた。 「関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」が2009年に建立したものだ。碑文にはこうある。 「一…

東京旅行5.[皇居前広場④]

さて、再び原武史先生のテキストに戻って、戦後の皇居前広場。 1945年8月10日の御前会議にて、国体の護持を条件にポツダム宣言の受諾を決定した日本政府は14日に正式に受諾、9月2日、東京湾に停泊したアメリカ軍艦ミズーリ号上で降伏文書に調印した。9月…

東京旅行4.[皇居前広場③]

さて、今回皇居前広場を訪ねたのには、実はもう一つ理由がある。二重橋が見てみたかったのだ。 1924年1月5日、金祉燮(김지섭 キムジソプ)という朝鮮人が二重橋付近で爆弾を投げる事件が起きている。彼は朝鮮の独立と平等な社会を実現するために結成され…

東京旅行3.[皇居前広場②]

皇居前広場について、引き続き原武史先生のテキストに沿って説明。 大正天皇が亡くなり、昭和に改元したのは1926年12月25日のことだ。昭和は末年も1週間しかなかったが、元年も1週間足らずしかないのである。 昭和の即位礼(大嘗祭)は1928(昭和3)年11…

東京旅行2.[皇居前広場①]

金曜日に東京に着いて錦糸町のホテルに宿泊、翌土曜日、東京駅から皇居前広場を訪ねた。 東京駅丸の内駅舎の天井。 みんな天井を見上げて写真を撮っているので、私も見上げてみた。 今回の旅行は放送大学の原武史先生の授業に触発された部分が大きいので、以…

東京旅行1.[なぜ、私は皇居前広場を訪ねたのか]

週末、東京を旅してきた。今回の旅行は、放送大学で今年度前期に原武史先生の「日本政治思想史」を受講したことが大きい。 著名な思想家の書き記したものからその思想を学ぶのではなく、広場、鉄道、団地といった「空間」に着目する空間政治学という手法で、…

韓国聞慶・芙江旅行6.[白川]

最後に訪ねたのは川である。そう、自伝の中で最も鮮烈な印象を残す、文子が自殺未遂を図ったあの川だ。岩下家の人々からの虐待に耐え兼ね、自殺を図ろうとしたことも衝撃的であるが、それ以上に山や木やセミの声や、自然の美しさによって生へと引き戻される…

韓国聞慶・芙江旅行5.[憲兵隊建築跡]

芙江駅からそう離れていなかったと思うが、かつて憲兵隊が駐在していた場所は警察署になっていた。文子の自伝に出てくる、カーキ色の服を着た憲兵が朝鮮人のおしりを鞭で打っていたという、あの場所である。 「中でも一番眼につくのは憲兵隊の建築だ。カーキ…

韓国聞慶・芙江旅行4.[芙江駅と岩下家跡]

芙江小学校を訪ねた後は、金子文子が引き取られた岩下家の跡へ向かった。現在は別の家が建ち、住んでいる方もいらっしゃるため、詳細は省くが芙江駅の近くである。 岩下家があった場所から見えた風景 周辺の風景 当時は「山の手」と呼ばれ、岩下家はその中で…

韓国聞慶・芙江旅行3.[芙江へ]

滞在最終日、聞慶から芙江(プガン)に移動した。芙江は金子文子が9歳から16歳までを過ごしたところだ。自伝「何が私をこうさせたか」には「京釜(けいふ)沿線にある小村」と書かれているが、正確には忠清北道清州郡芙江面芙江里。現在は世宗市に編入され…

韓国聞慶・芙江旅行2.[日韓合同学術大会]

2日目は日韓合同学術大会に参加するため、金Cさんの運転で聞慶の朴烈義士記念館に向かう。あいにくの雨模様で、途中工事で渋滞していたりするも、開始2分前の12時58分に記念館に到着。 朴烈義士記念館にて。「2018 日韓共同学術大会」 大会のテーマは「朴…

韓国聞慶・芙江旅行1.[ソウルにて合流]

10月25日から27日まで、2泊3日で韓国へ行ってきた。今回の目的は、26日に聞慶の朴烈義士記念館で行われる「朴烈と金子文子 日韓アナキズム連帯闘争の歴史と未来」と題した日韓共同学術大会に参加することだ。登壇者の一人である亀田さんからお誘いいただい…

菊とギロチン

KBCシネマで、瀬々敬久監督の「菊とギロチン」を鑑賞。実在した無政府主義者団体の「ギロチン社」と、1950年代まで日本各地で興行していた女相撲のある一座を描いた作品だ。 ギロチン社が結成されたのは1922年。中心人物は中濱鐵(てつ)、古田大次郎。二…

沖縄スパイ戦史

KBCシネマで「沖縄スパイ戦史」を鑑賞。三上智恵、大矢英代の二人の女性監督によるドキュメンタリーだ。 1945年に米軍が沖縄に上陸すると、民間人を含む約40万人の犠牲者を出す凄惨な地上戦が行われたことはよく知られているが、この映画が明らかにするの…

1987、ある闘いの真実

KBCシネマで、チャン・ジュナン監督の「1987、ある闘いの真実」を鑑賞。大統領直選制改憲を求める民主勢力と、全斗煥の軍事政権とが対決した1987年の6月民主抗争を描いた映画である。二人の若者の死が、物語の核となっている。一人はパク・ジョンチョル…

葛根廟事件の証言

福岡インディペンデント映画祭にて、田上龍一監督の「葛根廟事件の証言」を鑑賞。恥ずかしながらこのドキュメンタリー映画を観るまで、私はこの「事件」について全く知らなかったのだが、福岡でも数年前まで慰霊祭が行われていたという。 葛根廟事件が起きた…

東京旅行

9月1日に東京の横網町公園で毎年行われている、関東大震災時の朝鮮人犠牲者追悼式典に参加するため、8月31日から2泊3日で東京に行ってきた。 13時半頃に成田空港に到着した後、バスで東京駅まで移動。昼食を食べ損ねていたので、地下街にあったお店に入…

ゲッベルスと私

KBCシネマで、「ゲッベルスと私」を鑑賞。クリスティアン・クレーネス、フロリアン・ヴァイゲンザマー、オーラフS.ミュラー、ローラント・シュロットホーファーら、複数の監督によるドキュメンタリーだ。カメラを向けられているのは、ナチスの宣伝相ヨ…

スターリンの葬送狂騒曲

KBCシネマで、アーマンド・イアヌッチ監督の「スターリンの葬送狂騒曲」を鑑賞。 ソビエト連邦の最高指導者ヨシフ・スターリンが亡くなる際の混乱ぶりや、その後の側近たちによる権力争いの内幕を暴露して、フランスでベストセラーになった本の映画化だと…

2018年 金子文子忌4.[労働運動社跡]

新山初代の墓と住居跡を見た後は、労働運動社跡を訪ねた。 ロシア革命の影響で日本でも労働運動が盛り上がりつつあった1919年、大杉栄、伊藤野枝、近藤憲二、中村還一、久坂卯之助、和田久太郎、村木源次郎らが中心となって機関誌「労働運動」を創刊。その刊…

2018年 金子文子忌3.[新山初代の墓と住居跡]

日比谷公園を散策した後は、国立国会図書館に移動して一休み。それから本駒込駅へ。ここで金子文子や大逆事件の研究をされている亀田博さんと待ち合わせて、明治・大正のアナキズムゆかりの地を案内していただいた。酷暑の中、本当にありがとうございました。…

2018年 金子文子忌2.[社会主義おでんと日比谷公園]

金子文子の命日である7月23日、東京の「いわさき」という食堂でお昼を食べた。 文子は上京後、新聞売り、露天商、住み込みの女中などを経た後、1921年11月頃から「岩崎おでんや」で働いていた。麹町区有楽町にあった岩崎おでんやは通称「社会主義おでん」と…

2018年 金子文子忌1.[日韓共同ワークショップ]

金子文子の命日である7月23日を前に、山梨市で文子の追悼式と日韓共同ワークショップが開かれるというので、参加してきた。 前日の21日に東京入りしてその日は新宿に宿泊、翌22日の午前中、山梨市へ移動。 牧丘町杣口(そまぐち)にある文子の歌碑の前での…

シグナル

動画配信サイトGYAOで無料配信されていた、韓国ドラマ「シグナル」全16話をようやく見終わった。このドラマが韓国で放送されたのが2016年1月から3月。今年の春にはフジテレビで日本版リメイクが作られており、GYAOでの配信はそれに合わせたものだ。 主要な…

熊野から イントゥ・ザ・新宮

福岡アジア映画祭が始まると、「ああ、夏が来たな」と感じる。第32回目の今年は、7月6~8日までの3日間だった。 今年観に行ったのは、田中千世子監督の「熊野から イントゥ・ザ・新宮」。これまでにも熊野を題材に取り続けてきた監督のシリーズ第3作目…