旅と映画

行ったところと観た映画の個人的な記録

2019-01-01から1年間の記事一覧

カツベン!

大晦日に、中洲大洋で周防正行監督の「カツベン!」を鑑賞。 時代は大正末期、まだ映画に音声がついていなかった頃、語りによって映画にセリフや説明をつける活動弁士という人たちがいた。主人公・染谷俊太郎は子どもの頃に見た、「七色の声」のスター弁士・…

韓国大逆ツアー ソウル・聞慶編8.[最後の最後にトラブル発生]

仁川のチャイナタウンを観光し、あとは仁川国際空港から帰国するだけのはずであった。ここに至って、トラブル発生。結論からいうと、飛行機に乗り遅れました。 仁川市街地から空港までは1時間以上かかるため、14時前には市街地を出発し、15時過ぎに空港に到…

韓国大逆ツアー ソウル・聞慶編7.[仁川観光]

朴烈義士記念館を訪ねた後は、そのまま聞慶に宿泊。バスターミナルから歩いて10分ほどのところにホテルを予約していたが、これが予想外に景色の美しいところでびっくり。 夕食は宿の近くにある食堂に適当に入ったけれど、野菜たっぷりのバンチャンが素晴らし…

韓国大逆ツアー ソウル・聞慶編6.[朴烈義士記念館の展示]

金子文子の墓に手を合わせた後は、いよいよ館内へ。たまに、「同じところにそんなに何回も行ってどうするの?」と聞かれることがあるけれど、行く度に発見があるからだ。新しい資料が展示されていることもあれば、以前には目にとまらなかった資料に引き付け…

韓国大逆ツアー ソウル・聞慶編5.[朴烈義士記念館までの道と金子文子の墓]

最寄りのバス停から朴烈義士記念館までは歩いて15分ほど。タクシーで行けば楽なのに、あえてマウルバスに乗るのは、この道を歩きたいからだ。朴烈が慶尚北道聞慶郡麻城面で過ごしたのは、咸昌(ハムチャン)の公立普通学校に転校する10歳まで、即ち1911年ま…

韓国大逆ツアー ソウル・聞慶編4.[聞慶へ]

韓国旅行3日目。今日はソウルから慶尚北道・聞慶(ムンギョン)へ移動。約一年ぶりに「朴烈義士記念館」とその敷地内にある金子文子の墓を訪ねる予定だ。5回目の訪問である。 まずは地下鉄で、東ソウル総合バスターミナルまで移動。仁寺洞から30分ほど。聞…

韓国大逆ツアー ソウル・聞慶編3.[保守とマッコリ]

韓国旅行2日目。当初の予定では仁川観光をするつもりだったが、1.で書いたような事情でできなくなってしまった。新たに計画を立てるのも面倒で、今日はほぼノープランである。とりあえず、朝起きたらタプコル公園まで散歩してみた。 アジョッシ(おじさん…

韓国大逆ツアー ソウル・聞慶編2.[素晴らしきかな、コンビニ]

そんなこんなで11月8日。当初10時ちょうどの出発予定だったのが、18時45分に出発。こんな遅い便で韓国に行くのは初めてだ。でも、窓から見える夜景が美しい。遅い便もちょっといいなと思う。 (これは離陸前、飛行機の中から見た光景) 仁川国際空港には予…

韓国大逆ツアー ソウル・聞慶編1.[行く前から大変だ]

11月8~11日の日程で韓国を旅行してきた。目的は特にない。強いて言えば、日韓関係が悪化しているからだ。端を発したのは今年7月に日本政府が韓国に輸出規制措置を取ったことであるが、この背景として徴用工や日本軍「慰安婦」をめぐる歴史認識問題が指摘…

東京大逆ツアー 巣鴨編12.[台風一過]

東京滞在最終日、福岡に戻る日。夕べはホテルの中にいてもものすごい風の音で、夜中に何度も目が覚めた。しかし、朝になれば風もだいぶん収まり、日がさしてきたので台風も去ったのだろうと思った。 国立国会図書館に行くため、9時にホテルをチェックアウト…

東京大逆ツアー 巣鴨編11.[逆井橋]

東大島文化センターでの「関東大震災96周年 中国人受難者追悼式」に参加した後、王希天(ワンシーチェン)が殺害された逆井(さかさい)橋に行ってみた。東大島文化センターから歩いて15分くらいだったろうか。 王希天が殺害されたのは9月12日。田原洋「関…

東京大逆ツアー 巣鴨編10.[中国人受難者追悼式]

9月8日午前中は、江東区の東大島文化センターで行われる「関東大震災96周年 中国人受難者追悼式」に参加した。 関東大震災の時には中国人も多数虐殺されている。田原洋「関東大震災と中国人 王希天事件を追跡する」(岩波現代文庫)によると、特に大規模な…

東京大逆ツアー 巣鴨編9.[平田銕胤(かねたね)と徳川家の墓]

さて、またしても染井霊園である。 東京滞在3日目の朝。少し時間があったので、平田銕胤(かねたね)と徳川家の墓を訪ねた。 銕胤は国学者・平田篤胤の門人で、のちに篤胤の養子となる。日本のナショナリズムについて考える時、大きなヒントが国学にあるの…

東京大逆ツアー 巣鴨編8.[韓国・朝鮮人犠牲者追悼式]

東京滞在2日目の9月7日は、荒川河川敷で行われる関東大震災96周年の韓国・朝鮮人犠牲者追悼式に参加をした。去年は横網町公園で行われる追悼式に参加をしたが、荒川河川敷で行われる追悼式はまた少し違った雰囲気だと聞き、以前から関心があった。 この日…

東京大逆ツアー 巣鴨編7.[奥宮健之の墓と巣鴨の猫]

福田英子の墓を訪ねた後は、大逆事件で幸徳秋水らとともに処刑された奥宮健之の墓を訪ねた。ところが、これが霊園の案内図にも載っているのになかなか見つけられない。 ⑫が奥宮健之 事務所に尋ねたり、ネットで検索をして墓の周りの景色と照らし合わせたりし…

東京大逆ツアー 巣鴨編6.[福田英子の墓⑤]

福田英子の自伝「妾の半生涯」は1901年、日本女子恒産会を設立するところで終わっている。だが、この学校はうまくいかなかったようだ。ちょうど同じ頃、自伝には書かれていないが英子のその後の人生を変える出会いがあった。社会主義者の堺利彦が隣に引っ越…

東京大逆ツアー 巣鴨編5.[福田英子の墓④]

景山(福田)英子と大井憲太郎が恋愛関係に陥ったのは、大阪事件の公判中のことだった。民権運動の同志であるはずの男性たちが酒色にふけるだらしない姿を見て、婚約者であった小林樟雄への愛も冷めた英子だったが、ある日獄中の彼女のもとに大井から思いの…

東京大逆ツアー 巣鴨編4.[福田英子の墓③]

長崎で逮捕された景山(福田)英子は大阪に護送され、中之島監獄で一年半未決囚としての生活を送った後、1887年5月、国事犯として同志ら60余名とともに公判廷にかけられる。世にいう「大阪事件」である。新聞は彼女のことを女だてらに国事犯を企てた女傑と…

東京大逆ツアー 巣鴨編3.[福田英子の墓②]

1884年、家出同然に出奔した景山(福田)英子は、まず大阪に行って板垣退助に面会する。この当時の英子は国権主義に心酔しており、その志に感心した板垣の紹介で新聞記者の家に下宿して東京で女学校に通い始める。その傍ら、校正の仕事をしていた富井於菟(…

東京大逆ツアー 巣鴨編2.[福田英子の墓①]

初日は14時頃に羽田空港に到着後、モノレールで移動。私が羽田空港を好きな理由の一つは、モノレールに乗れるからだ。浜松町に着いたらさらに巣鴨に移動し、ホテルにチェックインして染井霊園に向かう。福田英子の墓は巣鴨門から入って少し歩くとすぐに見つ…

東京大逆ツアー 巣鴨編1.

9月6日から9日にかけて、東京に行ってきた。今回の目的は毎年荒川河川敷で行われている、関東大震災時の朝鮮人虐殺犠牲者の追悼式に参加すること。去年は9月1日に横網町公園での追悼式に参加したが、友人から「荒川河川敷で行われている追悼式は、また…

ヤン・イクチュン、来たる

福岡インディペンデント映画祭に、韓国の俳優ヤン・イクチュンが来場し、彼が出演や監督した短編映画2本が上映されると聞いて、行ってきた。 ヤン・イクチュンといえば監督・主演などを務めた映画「息もできない」が日本でもヒットをした。日本公開当時、ヤ…

飢えたライオン

アジアフォーカス・福岡国際映画祭のサテライト上映で、緒方貴臣監督の「飢えたライオン」を鑑賞。前作「子宮に沈める」では2010年に大阪で起きた幼児遺棄致死事件を題材にした緒方監督だが、今作ではSNSで拡散されるデマやフェイクニュースを取り上げて…

日本のいちばん長い日

福岡市総合図書館の映像ホールシネラで、岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」を鑑賞。 第二次世界大戦の末期に英米中がポツダム宣言を発表し、日本政府がそれを受諾することを決め、天皇裕仁による終戦の詔勅(いわゆる玉音放送)が放送されるまで・・・つ…

東京大逆ツアー 池袋編・番外2[前田卓と辛亥革命]

前田卓(まえだ・つな)が辛亥革命の支援に関わるようになるのは1905年、上京したことがきっかけだった。その年の6月、卓は3度目の短い結婚生活に終止符を打っている。37歳だった。養老院にでも住み込み、お年寄りの世話をしようと思って上京するが、義弟…

東京大逆ツアー 池袋編・番外[前田卓と夏目漱石]

夏目漱石が前田卓(まえだ・つな)と初めて会ったのは、漱石が熊本の五高に赴任していた1897年のことである。同僚の英語教師の誘いで、年末から正月にかけて熊本県玉名郡小天村湯之浦(現・熊本県玉名市天水町小天)にある前田案山子の別邸を訪ねたのだ。この…

東京大逆ツアー 池袋編14.[宮崎滔天旧宅]

雑司ヶ谷霊園で著名人の墓を訪ねた後は、西池袋に宮崎滔天の旧宅があるというのでよってみた。1914年に中国の革命家・黄興の援助によって建てられたものだ。滔天は孫文と黄興の中国同盟会の結成に尽力するなど、中国革命運動を熱心に支えたがその分生活は困…

東京大逆ツアー 池袋編13.[雑司ヶ谷霊園 著名人の墓]

せっかく来たので、園内の著名人の墓をめぐってみることとした。まずは泉鏡花。私は10代の頃は文学少女で、特に日本の近代文学を中心に読んでいた。泉鏡花も勿論読んでおり、一番好きな作品は「眉かくしの霊」。ラストシーンの静謐な美しさは、今も忘れるこ…

東京大逆ツアー 池袋編12.[雑司ヶ谷霊園 法務省墓地]

布施辰治の墓を訪ねた後は、歩いて雑司ヶ谷霊園に移動。夏目漱石をはじめ、著名人が多数眠っていることで有名だが、私たちの目的は敷地内にある法務省墓地である。これが今回の行き先を池袋に決めた二つ目の理由。 法務省墓地には獄中で亡くなったり、死刑に…

東京大逆ツアー 池袋編11.[布施辰治の墓]

今回、行き先を池袋に決めた主な理由は二つ。一つは南池袋の常在寺に弁護士・布施辰治の墓があるからだ。境内には顕彰碑もあり、布施の座右の銘である「生きべくんば民衆と共に、死すべくんば民衆の為に」が刻まれているそうだが、裏面に刻まれているのか確…