6月26日から28日にかけ、2泊3日で東京に行ってきた。本来は5月中旬に予定していたのが、例によってコロナウイルス感染拡大の影響で延期になっていたものだ。今回の行先は八王子。八王子には何があるか。天皇陵である。八王子には大正天皇の墓である多摩陵、貞明皇后の多摩東陵、昭和天皇の武藏野陵、香淳皇后の武蔵野東陵がある。
念のために言っておくと、手を合わせに行ったわけではない。権力の痕跡を訪ねにいったのである。そこを訪ねることで見えてくるものがあると思ったからだ。
初日は14時前に羽田空港に到着、宿に荷物を置いた後用事を一件済ませてまだ明るい内から新宿で軽く一杯。緊急事態宣言が5月25日に解除され約1ヶ月になるが、自粛生活の反動か、どのお店も混雑していた。
ところで、旅行後に調べてみて驚いたのは、近代以降の天皇陵に関する資料が極めて少ないことである。近世以前の天皇陵(古墳)に関するものはそれなりにあるが、これらの古墳についても宮内庁が管理しており、研究目的での内部への立ち入りは認められていないという。「御霊の静謐を妨げる」からというのがその理由である。墓である以上、そこに埋葬されている人に対し一定の敬意を払うことは大切であるが、これは学問上の大きな損失につながらないだろうか。