旅と映画

行ったところと観た映画の個人的な記録

今年も9月1日を東京で過ごす1.[関東大震災から99年目]

 関東大震災の発生から99年となる2022年、2年ぶりに東京で9月1日を過ごした。都立横網町公園で毎年行われている、関東大震災時の朝鮮人犠牲者追悼式典に参加するためだ。去年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、参列するのは関係者に限られ、一般の参加者はオンラインで視聴するのみだった。しかし、今年は通常通り行うという。

 式典は午前中に行われるため、前日から東京へ。午後の便で到着した後、まず向かったのは神楽坂。久津見房子の旧居が、喫茶店になって現存していると知ったからだ。  久津見房子は駐日ドイツ大使館顧問のリヒャルト・ゾルゲが、南満州鉄道嘱託の尾崎秀実らの協力を得て、日本の政治・軍事上の機密をソ連に流していた「ゾルゲ事件」に連座した女性である。1890年岡山生まれ。同郷に女性解放運動の先駆者福田英子がいる。山川菊栄と同い年で、山川、伊藤野枝、堺真柄らと日本初の女性による社会主義団体赤瀾会を立ち上げた。その後共産党の活動に加わり、1928年、女性としては初めて治安維持法の適用を受け、逮捕される。取り調べの中ですさまじい拷問を受けるが、絶対に口を割らなかった。

 私が久津見と聞いて思い出すのは、金子文子の獄中手記「何が私をこうさせたか」に久能という仮名で登場することだ。

 「久能女史はもう三十五、六の女社会主義者だった。何でもある思想家との間に二人の子までがあるのに夫を捨てて運動に飛び込んでいる女だった。私は今までにも彼女に度々会っていた。彼女は若い社会主義者と一緒に貧しい生活をしながら血みどろな闘争をつづけていた」

 そのためだろうか、久能は金子が貸していた着物を質に入れ、その利子も払わずに大阪に引っ越してしまう。金子は久能のみならず、社会主義者全体に対して幻滅をするのだが、それを差し引いても「貧しい生活をしながら血みどろな闘争」という言葉にはすごみがあるではないか。

 肝心の喫茶店は定休日で、外から建物を眺めることしかできなかった。残念。

 

Kissa1

 

 

 神楽坂は初めて歩いたけれど、ゆるい坂道が心地いい、風情のある街だ。日を改めてゆっくり散歩してみたい。

 

Map1

 

神楽坂マップには・・・

 

Map2 

 なぜかコボちゃん植田まさし氏にゆかりがあるのだろうか。  神楽坂の次は高田馬場に移動して、ドラマ「孤独のグルメ」に登場したミャンマー料理のお店へ。

 

Beer

 

 

 「シャン酒」というお酒。度数は高いけれど、香りがよくて飲みやすい。